空き家を売却しようとしたとき、不動産会社から「測量が必要です」と言われて戸惑った経験はありませんか?測量には数十万円の費用がかかることもあり、本当に必要なのか判断に迷う方も多いでしょう。
実は、測量の要否は物件の状況や買主の希望によって大きく異なります。不要なケースで測量費用を負担してしまったり、逆に必要なケースで測量を怠ってトラブルに発展したりすることは避けたいものです。
この記事では、空き家売却において測量が必要になるケースと不要なケース、費用相場、そして境界確定をスムーズに進めるためのポイントを詳しく解説します。
空き家売却で測量が必要になる5つのケース
すべての不動産売却で測量が必須というわけではありません。しかし、以下のケースでは測量を行うことで、売却をスムーズに進められたり、将来のトラブルを防いだりできます。
1. 境界標が見つからない・不明瞭な場合
境界標とは、隣地との境界を示す金属プレートや石杭のことです。古い空き家では、境界標が経年劣化で破損していたり、土に埋もれて見つからなかったりすることがあります。
境界が不明瞭なまま売却すると、買主が将来建て替えや増築をする際にトラブルになる可能性があります。そのため、買主から境界確定測量を求められるケースが多いです。
2. 登記簿の面積と実測面積が異なる可能性がある場合
古い土地では、登記簿に記載された面積(公簿面積)と実際の面積が異なることがあります。特に昭和40年代以前に測量された土地は、測量技術の精度が低かったため、誤差が生じやすい傾向にあります。
面積の差異は売買価格に直接影響するため、正確な面積を把握するために測量が必要になります。
3. 隣地所有者との間で境界の認識が異なる場合
売主と隣地所有者で境界線の認識が異なる場合、そのまま売却すると買主が境界紛争に巻き込まれる恐れがあります。売却前に測量を行い、隣地所有者との間で境界を確定させておくことが重要です。
4. 買主が住宅ローンを利用する場合
金融機関によっては、住宅ローンの審査において確定測量図の提出を求めることがあります。特に土地の評価額が融資額に大きく影響する場合、正確な面積を確認するために測量が必要になるケースがあります。
5. 土地を分筆して一部のみ売却する場合
相続した広い土地の一部だけを売却したい場合、分筆登記が必要になります。分筆登記には確定測量図が必須のため、必ず測量を行う必要があります。
測量が不要なケースもある
一方で、以下のようなケースでは測量なしで売却できることもあります。
公簿売買で合意できる場合
売主と買主の間で「公簿面積による売買」に合意できれば、測量は不要です。公簿売買とは、登記簿に記載された面積を基準に売買価格を決定する方法です。
ただし、実測面積との差異が後から判明しても価格調整しないことが前提となるため、買主がこの条件を受け入れるかどうかがポイントになります。
境界標が明確に存在し、隣地所有者との合意がある場合
すべての境界標が現存しており、隣地所有者との間で境界について争いがない場合は、既存の測量図で対応できることがあります。過去に作成された測量図があれば、それを活用できる可能性があります。
買取業者に売却する場合
不動産買取業者は、測量や境界確定を自社で行うことを前提に買取価格を提示することが多いです。そのため、売主側で測量費用を負担せずに売却できるケースがあります。ただし、その分買取価格に反映される点は理解しておきましょう。
測量の種類と費用相場
測量にはいくつかの種類があり、目的によって必要な測量が異なります。それぞれの特徴と費用相場を確認しましょう。
現況測量(仮測量)
現況測量は、現在の土地の状況をそのまま測定するものです。境界標の位置や建物の配置、面積などを把握できますが、隣地所有者との境界確認は行いません。
費用相場:10万円〜20万円程度
売却前の参考資料として利用されることが多く、正式な境界確定には別途手続きが必要です。
確定測量(境界確定測量)
確定測量は、隣地所有者全員と境界について合意を取り、境界を法的に確定させる測量です。隣地所有者の立会いのもとで境界を確認し、境界確認書を作成します。
費用相場:30万円〜80万円程度
費用は土地の広さや形状、隣地の数によって変動します。また、道路との境界確定(官民境界)が必要な場合は、さらに費用と時間がかかります。
官民境界確定
官民境界とは、私有地と公道(国や自治体が管理する道路)との境界のことです。この境界を確定させるには、自治体への申請と現地立会いが必要になります。
費用相場:40万円〜100万円程度
自治体によって対応スピードが異なり、申請から確定まで2〜6ヶ月程度かかることもあります。売却スケジュールに余裕を持って進めることが重要です。
境界確定をスムーズに進めるための4つのポイント
測量・境界確定は専門家に依頼する必要がありますが、売主としても事前に準備しておくべきことがあります。
1. 過去の測量図や境界に関する書類を探す
まずは、過去に作成された測量図や境界確認書がないか確認しましょう。これらの書類があれば、新たな測量の手間と費用を削減できる可能性があります。
確認すべき書類には以下のようなものがあります。
・地積測量図(法務局で取得可能)
・境界確認書
・過去の売買契約書に添付された図面
・建築確認申請時の敷地図
2. 隣地所有者との関係を良好に保つ
境界確定測量では、隣地所有者全員の立会いと合意が必要です。日頃から隣地所有者との関係を良好に保っておくことで、スムーズに境界確認を進められます。
空き家の場合、長期間不在にしていると隣地所有者との関係が疎遠になりがちです。売却を検討し始めたら、早めに挨拶をしておくことをおすすめします。
3. 土地家屋調査士に早めに相談する
測量は土地家屋調査士に依頼します。複数の土地家屋調査士から見積もりを取り、費用と対応を比較検討しましょう。
また、隣地所有者が多い場合や官民境界の確定が必要な場合は、予想以上に時間がかかることがあります。売却スケジュールに影響しないよう、早めに相談することが重要です。
4. 費用負担について買主と交渉する
測量費用は一般的に売主が負担しますが、買主との交渉次第では費用を折半したり、買主負担にしたりできる場合もあります。
特に、買主が測量を強く希望している場合は、費用負担について交渉の余地があります。不動産会社を通じて、条件を調整してもらいましょう。
測量でトラブルが発生した場合の対処法
境界確定の過程で、隣地所有者との間でトラブルが発生することがあります。主なトラブルと対処法を確認しておきましょう。
隣地所有者が境界確認に応じてくれない場合
隣地所有者が高齢で施設に入所していたり、相続が発生して所有者が不明だったりするケースがあります。
このような場合は、筆界特定制度を利用する方法があります。筆界特定制度とは、法務局が土地の境界を特定する制度で、隣地所有者の同意がなくても手続きを進められます。ただし、費用と時間がかかるため、最終手段として検討しましょう。
境界について隣地所有者と意見が対立する場合
境界の位置について隣地所有者と意見が対立する場合、まずは土地家屋調査士を交えて話し合いを行います。
それでも解決しない場合は、弁護士に相談して調停や訴訟を検討することになります。ただし、訴訟は時間とコストがかかるため、売却価格とのバランスを考慮して判断する必要があります。
まとめ:測量の要否は物件の状況と買主の希望で判断する
空き家売却における測量の要否は、境界標の状態、登記簿面積との差異、隣地所有者との関係、買主の希望など、様々な要素によって判断されます。
測量には30万円〜80万円程度の費用がかかりますが、境界が不明確なまま売却すると、将来的なトラブルリスクを買主に転嫁することになり、売却価格の減額や契約解除につながる可能性もあります。
まずは不動産会社や土地家屋調査士に相談し、測量が必要かどうかを判断してもらいましょう。必要な場合は、早めに手続きを開始することで、スムーズな売却につなげることができます。
測量や境界確定は専門的な知識が必要な分野です。信頼できる専門家と連携しながら、安心できる売却を実現してください。


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